どのようなきっかけで、この職業についたのですか?
臨床工学技士を目指した理由は非常に単純で、医龍というTVドラマがカッコ良く、楽しそうに思えたからです。医龍ではバチスタチームという心臓手術チームが結成され、その中に臨床工学技士がいました。専門学校を卒業後、心臓外科手術を数多く行っている施設に就職しましたが、そこにはそもそもバチスタチームというものが存在せず、チーム入隊には至りませんでした(笑)。しかし、多数の心臓手術を経験して至った今の職場は、かつて目指したバチスタチームに勝るとも劣らないと自負しています。
臨床工学技士はどのような仕事をしているのでしょうか?
心臓・肺・腎臓・肝臓など人間の大切な臓器の代わりをする機械をはじめ、病院で使用される多種多様な医療機器を点検・管理・操作する医療スタッフが臨床工学技士です。
例えば、あなたが道で倒れたとしましょう。近くの人が持ってきてくれるAED。救急車の中で使用する人工呼吸器や心電図。病院では電気ショックや心臓アシスト機器(いわゆる人工心肺)が使用されるかもしれません。これらの機器はすべて臨床工学技士の管理対象機器になります。医療における医療機器のエンジニア、それが我々なのです。
臨床工学技士の魅力、やりがいなどを教えてください。
私たちの仕事は命を繋ぐ仕事です。人の命を繋ぐ仕事というのはとても重い責任があります。医師と治療方針について議論する場もあり、しばしば自分の言葉によって治療方針が決まってしまう場合があります。自分の一言が患者様の予後に影響する、こうした重圧に身も心も疲れますが、これこそが臨床工学技士のやりがいであり魅力でしょう。患者様の病態を見て、適切に医療機器を操作する。臨床工学技士の存在意義は、まさにその点にあると思っています。
将来、臨床工学技士を目指す高校生にメッセージをお願いします。
お伝えしたいことは二つです。一つ目は『誇れる仕事をしましょう』ということです。あなたの知恵と技術で大勢の人の命を救いましょう。誇りある仕事と楽しい仕事は同義語です。二つ目は『上を見ましょう』です。臨床工学技士として働く上で、多くの部門がありますが、好きな部門は頂点を目指す努力をしてください。それはあなたの臨床工学技士としての価値を高めます。
近い将来、皆さんと共に仕事ができる日を楽しみにしています。