臨床工学技士の仕事

医療機器のスペシャリスト

身体は、わたしたちが意識をしなくともさまざまな働きをしています。たとえば、呼吸もそのひとつ。ほかにも、血液を全身に運んだり、食べ物を消化してエネルギーに変えたり…。

当たり前のように行われていますが、これらはわたしたちが生きていくうえで決して欠かせない働きです。しかし、病気になるとこれらがうまく機能しなくなることがあります。そのとき、身体の働きを手助けするのが、最新技術でつくられた「生命維持管理装置」と呼ばれる医療機器です。

臨床工学技師の仕事は、これらの医療機器について日頃から「保守・点検・管理」を行い、実際に「操作」をすることです。機器のメンテナンスにより事故を未然に防ぎ、ときには機器を通じて患者さんと直接関わります。

主な仕事

人工心肺業務

臨床実習
(人工心肺装置を運転する臨床工学技士)

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人工心肺業務
「手術のあいだ、患者さんの心臓と肺の代わりを務める」

心臓の手術を行うあいだ、心臓と肺の代行を行う「人工心肺装置」を操作します。患者さんの血液循環やガス交換を担う、重要な業務です。
また、ときには数十台の医療機器の操作も行います。


人工透析業務

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人工透析業務
「患者さんと直接関わりながら、血液の浄化を行う」

腎臓の機能が低下すると、血液のろ過が十分に行えず、本来は尿として出るべき老廃物が体に溜まってしまいます。
ここでは、腎臓の機能を代行する「人工透析器」を操作して、患者さんの治療に当たります。
患者さんにとって、臨床工学技士は身近なパートナー。患者さんと言葉を交わし、不安を和らげることも大切な仕事のひとつです。


呼吸療法業務

人工呼吸器の実習
(人形に装着しての模擬実習)

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呼吸療法業務
「さまざまな場所で、患者さんの呼吸補助を行う」

ドラマでもよく見かける「人工呼吸器」を扱う業務です。十分な呼吸ができない患者さんに装置を装着し、呼吸を補助・代行を行います。
人工呼吸器は手術室やICU(集中治療室)のほか、病棟などで広く使用されています。臨床工学技士は装置に問題はないか、安全に使用されているかなど、日々チェックしています。


高気圧酸素療法業務

高気圧酸素療法装置実習
(高気圧酸素療法の体験)

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高気圧酸素療法業務
「高い気圧を使って酸素を吸入し、治療を行う」

これは、血液中の酸素を運ぶヘモグロビンが機能しなくなったり、血液が身体の必要な組織に十分に届かなくなった患者さんのための装置。
一酸化炭素中毒、潜水病、突発性難聴、糖尿病性の網膜動脈閉塞症など、さまざまな治療に使用されています。


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医療機器管理業務
「日々のメンテナンスで、事故を未然に防ぐ」

手術室やICU では電気メス、ペースメーカーなどさまざまな医療機器が使用されています。医療機器の保守・点検を行い、常に医療機器が安全に使用できるように管理しています。
医療機器は生命に直結するため、小さな故障も見逃せません。



カテーテル業務

バルーンやステントを使用して治療を行ったりペースメーカーを植え込みや心筋を焼灼するアブレーションなど、幅広い業務を行います。

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「臨床工学技士」と「臨床検査技師」の違いは?

臨床工学技士は医療機器を用いて“治療のサポート” を行います。それに対し、臨床検査技師は血液や尿などを検査し、“治療・診断の方針を決める情報の提供” をしています。

「臨床工学技士」と「診療放射線技師」の違いは?

どちらも医療機器のエキスパートという点では同じですが、診療放射線技師は“放射線” に特化した職業です。レントゲン撮影と呼ばれるX 線検査のほか、放射線治療を医師とともに治療を行うことがあります。